FE考察~暗黒皇帝の真実
前回(ハーディンの理想)では草原の狼と呼ばれた頃のハーディンの人物像と彼を動かしてきた理想について考察したが、今回はハーディンの皇帝時代の行動原理について考察する。
【定説を斬る!】
『ファイアーエムブレム』で語られている皇帝ハーディンは彼の人物像の定説となっている。
ニーナの後見人であり暗黒戦争勝利の立役者でもあったハーディンは戦争終結後、王家の唯一の生き残りニーナの婿として迎えられ、アカネイアの王になった。しかし愛するニーナの心はハーディンには無く、グルニアの黒騎士カミュにあった。そして暗黒戦争の英雄としての名声はマルスの方が高かった。ハーディンは“カミュとマルスへの嫉妬心”とそれを増幅する闇のオーブの力により暗黒皇帝として大陸中に恐怖を振りまいた…、こんな所だろうか。
他の暗黒皇帝の所業としては多くの者を処刑したり、マルスを罠に嵌めてアリティアを攻めた等色々あるが、最大の罪はマルスに通じるという裏切りを行為をしたニーナを折檻し、ガーネフに差し出した事だろう。アカネイアの秩序においてアカネイア王家は絶対的な存在である。これによって暗黒皇帝ハーディンの悪は確定した。
当ブログでは毎回のように言っているが、『ファイアーエムブレム』はマルス王朝による勝者の歴史なので、敵である敗者でもある者たちの罪状は割り引いて見るべきだろう。マルス王朝側のプロパガンダという可能性は否定出来ない。
そしてハーディンの行動は不自然過ぎるのだ。特に闇のオーブによる人格の豹変はあまりに都合が良過ぎないだろうか?
ハーディンの不自然な行動として最初に思いつくのは『ニーナをガーネフに差し出した事』だ。“まともな人間なら”ありえない行動だ。ハーディン皇帝の権力の正当性の根拠は『ニーナの婿であり、彼女からアカネイアの統治権を委譲されている。』この一点しか無く、ニーナを手放すのは自殺行為以外の何物でも無い。実際にニーナという錦の御旗を失ったからこそ、ミディアはクーデターを起こし、マルスはパレスに攻め込んだのだ。
しかしハーディンはまともでは無い。闇のオーブで増幅された嫉妬心から狂っているのだから…と正史は語る。が、不自然ではないか?というよりも都合が良過ぎないか?ハーディンを悪者に仕立てて倒したい者たちにとって。誰かは言うまでもない。マルスと彼を担いだ反ハーディン派の者たちだ。
マルスへの嫉妬というのも不自然だ。暗黒戦争終結時点でハーディンはマルスよりもずっと大きな成功を手にしているからだ。元々ハーディンとマルスとでは家格に差がある。『ファイアーエムブレム』ではマルスをハーディンと同格以上に見せようという印象操作をしている。これについては別の記事で語る。
カミュへの嫉妬もまた不自然だ。ハーディンはニーナと結婚している。死んだ元カレ(?)を気にするのもおかしいし、例え生きていたとしてもハーディンを脅かす存在にはなり得ない。
結婚した妻が元カレに未練があるという話は“よくある話”だろう。(例:アルテミスとカルタス王、アンリの関係にも重なる。)しかしそんな小さな事を気にする者はアカネイアでは軽蔑される人物像だと思われる。
そもそも“妻の心にが元カレの存在がある事自体が許せない”のは相当嫉妬深く粘着気質だが、それは“相手の心をも支配したいと欲する者”の発想である。現代で言えば恋人の携帯電話を細かくチェックするような人物といったイメージか。
だがハーディンは騎馬民族の異文化に入り込み、人が人を支配する奴隷制度を否定した人物である。他人を支配したいと欲する嫉妬深い人物が異文化に入り込むだろうか?奴隷制度の廃止など考えるだろうか?
そう考えるとハーディンの人物像の“定説”は事実を曲げ、都合良く作られた虚像だと断定出来る。ではハーディンの虚像を作り上げたのは誰か?ハーディンの成功を妬んだアカネイア人たちである。彼らは暗黒戦争当時から噂されていたニーナと敵国の将軍とのロマンスを絡ませて、自分たちに都合の良いハーディン像の風聞を流した。それを聞く者たちも自分にとって都合の良いハーディン像を作り上げていく。まさに『人は噂の奴隷であり、しかもそれを自分の望ましいと思う色をつけた形で信じてしまう。』(ユリウス・カエサルの名言)である。
ハーディンを倒したマルスはその風聞に乗っかることで自らの正義を強化した。
ニーナを手放すのも、嫉妬に狂うのも、草原の狼時代のハーディンの姿からは決してありえない行動だ。“闇のオーブ”という常識を越えた神器の力だとしか説明出来ないほど、ハーディンの豹変ぶりは不自然なのだ。
闇のオーブはほんの僅かな嫉妬心でも増幅する力があるのだと反論は可能だが、そもそも闇のオーブという神器を目に出来る者、触れられる者などごく限られる。その神器に秘められた力など何とでも言えるのではないか。
【皇帝の権力】
もう一点『ファイアーエムブレム』での定説を信じるには不自然な事がある。
それは“皇帝”ハーディンの権力が強大過ぎることだ。
ハーディンはニーナを救い暗黒戦争を勝利に導いた英雄(その功績はマルスより遥かに高い)とはいえ、属国の王弟に過ぎず、アカネイアの名門カルタス家の傍系に過ぎない。そのハーディンのアカネイアにおける権力基盤はどこにあるのだろう?
『その強引とも思えるやり方で瞬く間に国力を回復し多くの兵を集めて強大な軍隊を作り上げた』
前回述べたような奴隷解放や身分に囚われない人材登用もこれに含まれるが、これらを“強引に”実現するには反対の声をも黙らせる圧倒的な権力と正義が必要だ。少なくとも軍の改革は実現しているのだから、実際にハーディンの権力は絶大だったに違いない。
そして皇帝という王よりも上位と思われる称号もまた不自然だ。カルタス王ですらその独裁を阻止するため“王”止まりだったのにハーディンは上位の“皇帝”である。一応その強大な軍事力を背景に『自ら皇帝となった』という説明は一応筋が通ってはいる。(参考:聖王国を蘇らせた男・後編)しかし皇帝になる以前から“強引”な改革を可能とする権力は与えられていた。もともとハーディンの独裁以前に増長すら許せない者も少なくなかったはずである。そもそもアカネイア貴族たちは草原の田舎者がニーナと結婚し、アカネイアの統治権を行使する“王”の称号を賜ることすら反対だったのではないか。
元々オレルアン王弟でアカネイアでの権力基盤(具体的に言えば軍事力と財力)を持たないハーディンに絶対的な権力を与えたのは誰か?
それはアカネイア王家唯一の生き残りにして現当主・ニーナ以外に存在しない。
血統主義のアカネイア社会ではアカネイア王家当主の権威、正義は絶対だ。王家の生き残りがニーナ一人なら尚更だ。
ニーナはハーディンの改革路線を全面的に支持し、彼に独裁ともいえる程の権限を与えた。これは事実である。
【ニーナの真実】
皇帝となる前のハーディンが“強引とも思えるやり方”を実現するためにはニーナの“絶対的正義”が不可欠だ。言う事を聞かせる武力も懐柔させる財力も持たないハーディンはニーナの絶対的正義を最大限利用し、財政と軍制改革を進め、その権力を確かなものとした。
ハーディンの改革路線はむしろニーナ自身の強い意向だったともいえる。ハーディンはニーナに与えられた人事権によって改革を実行するための官僚や軍人を抜擢したに過ぎない。(後にマルスはハーディンに見出された人材、あるいは彼らの作ったシステムを活用してその政権を安定させたと思われる。)
だが、その改革のビジョンはアカネイアに生まれ、アカネイアの価値観によって育った姫君のニーナから生まれる発想ではない。やはり“ハーディンの理想”なのだ。
政治力の無いニーナを夫ハーディンが無理矢理言いなりにさせたのでは?という反論も考えられるが、そもそもオレルアン王弟ハーディンはニーナの結婚相手として家格の点でハンデがあった。他に候補がいないわけではない。例えばアカネイア名門貴族のジョルジュなら家格の点でハーディンより相応しい。ハーディンとの結婚はアルテミスの時代に例えれば、カルタスよりもアンリの方が近かったのではないか。王女との格差はアンリほど離れていないが。そうなると貴族たちは成り上がり者の増長を防ぐためにあらゆる妨害をしただろう。マルスは早々に彼らの嫉妬から逃れたが、ハーディンは逃げなかった。だがこの時点のハーディンに貴族たちの妨害を跳ね返す政治力は無い。
そう考えるとハーディンとの結婚を実現させた最大にして唯一の決め手はニーナ自身の意志だったのだ。
そしてニーナの望みはハーディンに彼の理想を実現させること。
つまり、定説とは逆に…
ニーナはハーディンを愛していたのではないか。
草原への亡命から暗黒戦争終結までの期間、理想や夢を語り、愛を育む時間は十分にあった。それは愛し合う二人にとってこれ以上ない至福の時だったのではないか。
暗黒戦争終結後のニーナを待つ運命はアカネイア王家唯一の生き残りとして、政治闘争の道具として、あるいは子を産む道具として利用されることである。王女として生まれた以上、政略結婚は避けられないが、身内のいない孤独の中で貴族同士の政争に翻弄されるのは酷というものだ。
だがニーナはそれでも王族としての責任を果たさねばならぬと決意していた。そんなニーナを守るため、ハーディンは敢えて草原を捨て、策謀渦巻くパレスに飛び込んだ。
ハーディンにとってニーナを守るという誓いはそれほどまでに重いものだった。
この記事へのコメント
この仮説が閃いた時に、ハーディンやニーナに関する様々な疑問が氷解したように思われます。
結果を言えばハーディンはニーナを守れなかったのですが、英雄戦争の時のニーナの動きについては、また後に書きます。
『ハーディン&ニーナ相思相愛説』は英雄戦争の根底を覆す実に斬新な仮説です。
『ファイアーエムブレム』で語られる『闇のオーブに心奪われた』ハーディンの行動を辿ると、
①グルニアにラングを派遣。
(ラングの悪政から、グルニアに反乱を起こさせ、王家の生き残りを狩りグルニアを完全に制圧下に置くことが狙いだったと、語られる。)
②グルニアでのロレンスによるクーデターの鎮圧をマルスに命じる。
③マルスにファイアーエムブレムを差し出した事を理由に、ニーナをガーネフに引き渡す。
④マケドニアでの内乱鎮圧、並びにミネルバ王女救助をラングを介してマルスに命じる。(リュッケ一派を焚き付けた黒幕はハーディンだったとされる)
⑤アカネイア・グラ・オレルアン連合軍で、王子不在のアリティアを制圧。(④はこの布石だったとされる)
⑥アリティアに併合されていたグラをアカネイアに返却し、シーマを探し出してグラ王に任命。グラ王国の再興を支持。
(『利用するだけ利用してグラを捨て駒にした』と語られているが…)
⑧アリティア軍を迎え撃つべく、アドリア峠に狼騎士団を派遣。(後にオレルアン王が撤兵を命じる)
⑨パレスにて騎士や市民によるクーデターが勃発し、これを鎮圧。(多くの者達が処刑された事が強調される)
⑩パレス王宮にてアリティア軍と交戦。戦死する。
順序の入れ違いや抜けがあるかも知れないが、こんな所か。
結果的にグルニアで内乱が起こったものの、『グルニア王家の根絶やし』は後世による後付けなのか、遺恨を絶つ為だったのか。
ただ、シーマを擁してグラ王国の再興を支援した以上、国としては滅亡しているグルニア王家をわざわざ根絶やしにする意図は謎だ。
『史実』では④の過程と同様に『治安が悪化したグルニアから遺児を捜索・保護する事』もマルスに命じていたのかも知れない。
③の過程はつまる所『リンダを介してエムブレムがアリティアのマルスの手に渡り、時を同じくしてガーネフがニーナに拉致された』事になる訳だが、エムブレムをマルスに託したのは、②や④の行程で自身の名代としてのマルスに信頼を置くハーディンの意図だったのかも知れない。
この時はニーナがガーネフによって拉致され、以後ハーディンの運命が本格的に狂うとは知る由も無かったのだろう。
ここで本格的に『一体どういうつもりなんだハーディン?!』という事態になるが、実は『アカネイア・グラ・オレルアン連合軍』による侵攻とは語られるも、『ハーディンによる侵攻』という物的証拠は無い。
アリティアに強引な宣戦布告をする事でハーディンとアリティアのマルスとの関係を断ち切り、ハーディンを完全に孤立させる事が狙う、アカネイアやオレルアン内のハーディンの反対勢力が共謀してアリティア攻めを行ったのが真相か。
アリティア侵攻を独断で行った者達を処罰する(後世には暴走したハーディンによる血の粛清とされる)も、⑤の一件によりアリティア国民には『アカネイア許すまじ!』という世論が生まれてしまった。
憎しみと恨みが生み出す負の連鎖からアカネイアvsアリティアの対立が生まれ、時代の空気に抗えず、マルスとハーディンはお互いに不本意な戦争をする羽目になったのかも知れない。
コメントありがとうございます。こうして並べると英雄戦争でのハーディンの行動には不可解な所が多いですね。今後の展開はハーディンとマルス、反ハーディン派などそれぞれの意図と、『ファイアーエムブレム』で語られるウソとホントを整理しながら書くようになります。
一つ思ったのですが、紋章の謎において、アカネイア王室内部についての正史、若しくはマルスが事実と思い込んでしまった内容は第19章においてアカネイア守旧派のボアがマルスに語った内容に基づいている点は軽視できないと思います。
宮廷司祭として二人の近くにいたボアならば、ハーディンにカミュの事を誇張して伝える事も、ハーディンの反応を更に誇張してニーナに伝える事も容易です。
二人が夫婦喧嘩をして軍の監督が緩んだ隙に、マルス、シーダ夫妻(この二人は元奴隷を重用しているタリス王の指導を受けていますから、ハーディン改革の支持者筆頭と思われたでしょう)を抹殺してしまえば、羽翼をもがれたハーディン改革は立ち消え、守旧派の天下は安泰…の筈でした。(ここは私の想像)
しかし、夫婦喧嘩の末に引き籠ったニーナに色々密告している事がハーディンに気付かれ、ボアは粛清、ニーナ(とアリティア攻防戦で生け捕られたエリス)はその混乱の中ガーネフに拉致され、予想以上に強かったハーディンに抜擢された将兵の前に実力行使担当のミディアは大敗。(ここは誤魔化しようのない事実)
マルスに保護されたボアにしてみれば、自分は助からないにしても、同志のミディアは助けたい、ハーディンに仕返しをしたいと考えるのは当然ですから、自分達に不利な情報は隠すか偽るかしていたのでは無いでしょうか?
まあ、「闇のオーブによる凶暴化」が無くとも、ボア粛清、ミディア鎮圧の混乱中に「エリスを丁重に返還して平謝り」というカードが消えた時点で、ハーディンはマルスを殺すかマルスに殺されるかの二者択一に追い詰められたと見做せますね。
コメントありがとうございます。
マルスにしてみれば ハーディンら改革派とボアら守旧派が潰し合った後にまんまとアカネイアを手に入れる形になりましたね。マルスが一番ワルです(笑)この辺はもっと詳しく書きたいです。
ファイアーエムブレムの中で正史と信じられている事柄は信じられる理由があるわけで、そこがFE考察のキモかと。
人はそれぞれの立場で「自分が信じたい真実」を受け入れる生き物なのだと思います。
でも、あえてハーディンは黙認したという可能性もあります。
マルスはハーディン改革派の筆頭ですが、同時に扱い難い存在だった気がします。
何故ならば、ハーディンは王よりも上位である皇帝です。
皇帝は絶対者でなければいけません。
漢の高祖劉邦は漢王朝の覇権を確固たる物にするためにも外様の家臣で大きな勢力を有する英布、韓信、彭越を粛清したじゃないですか、『狡兎死して走狗煮らる』ドルーアを滅ぼしたのはマルスのお陰ですが、後々厄介な存在になるはずです。
それを考えるとメディウスを倒したマルスは後々厄介な存在になると考えた可能性もあります
ハーディンの代ならばマルスは大人しいでしょうが、彼の死後牙をむく可能性もあります。
それにマルスはハーディン子飼の家臣ではなく同盟者です。
マルスがアリティア一国だけが恩賞にしたのも力をつけすぎないための措置という可能性もあります。
少し捻くれてるかもしれませんが、皇帝という絶対者が君臨するには英雄は二人いては駄目なんですよ。
コメントありがとうございます。
皇帝ハーディンの使命は平和で安定した世の中にすること。争いの芽はどんな手を使ってでも摘まねばならない立場です。
マルスはもう一人の英雄として、反皇帝派に担ぎ上げられるのは確実な存在でした。
彼らの激突は避けられない宿命で、まさに英雄戦争といえます。
ハーディンは騎馬民族への対応から、地方民の隷属化や搾取に激しく反発していた点は間違いありません。
当初、ハーディンはアリティアにマルス、グラにシーマ、マケドニアにミネルバ、グルニアにロレンスを王、若しくは摂政として配置し、自らは皇帝に即位しています。これは、各地の王の自治を強化し、王の上位に当たるアカネイア皇帝は王達の纏め役、調整役を担う、との解釈も出来ます。丁度アリティア「王」が、開拓村の村長達の調停役であったように。
この構想はアリティア、グラでは一応成功しています。これはマルスとシーマが自覚しているように、「前の支配者が酷過ぎた」点が成功の要因です。しかし、グルニアのロレンスは土壇場で国を裏切った前歴から人望を得られませんでしたし、マケドニアのミネルバは無思慮な軍縮で治安崩壊の大失態を演じています。また、グラのシーマは人望と統治力はありますが、マルスと比べるとこの時点では実績不足の感は否めません。結果論ですが、アリティアの一人勝ち状態をハーディン自ら作ってしまったのです。
皇帝の位置付けを「王の調停者」から「最強の独裁君主」に切り替えざるを得なかった点にもハーディンの悲劇があったのではないでしょうか。ミネルバがもう少し有能、せめて位置的、能力的にマルスの対抗馬になり得たシーマが統治実績を固めるまで時間を稼いでくれたら、ハーディンの初期構想は案外上手くいっていたかもしれません。
コメントありがとうございます。
ハーディンの政権構想についてはいずれ考察本文で取り上げる予定です。
烏合の衆のはずの反皇帝派がマルスを中心にまとまったことがハーディン政権の短命の原因の一つですね。おっしゃる通り、ハーディンとしては反皇帝派がもっと内輪揉めしていれば助かったのに…という所でしょうか。
(江戸時代の参勤交代と同じ要領)
cvhiryuu様のコメントにあるように、ハーディン即位時の各国の力関係は実質タリスと連合状態かつ、戦勝国のアリティアの一人勝ち状態でした。
(アカネイア≧オレルアン>アリティア≒タリス>(戦勝国の壁)>マケドニア>(統治者不在の壁)>グラ>(無法地帯の壁)>グルニアのイメージ。
アリティア陥落&シーマ即位後は、アカネイア≒オレルアン>グラ>アリティア≒タリス>>マケドニア>>グルニアか)
ハーディンの有力な同盟者であると同時に、その能力や人望は反ハーディン派の旗印にもなり得る諸刃の剣。
ならば遠征に向かわせる事で、アリティアとの関係を良好に保ちつつもその国力を削ぎ、治世が崩壊しているマケドニアや無法地帯のグルニアを救援してその国力回復のきっかけを作るパワーバランス調整の一貫だったのかも知れない。
ハーディンは戦後復興初期段階でマルスに「グラ問題をアカネイアで引き受けるから、アリティアはマケドニアの面倒を見ろ」と耳打ちしていたのではないでしょうか。
着目すべきは、戦後に予備役に入って武具商人を開業したアベルとエストの夫婦です。
これは、マルスが代金を立て替えて、マケドニアとアリティア双方の内情を知るアベルとエストが武具類を輸出し、ミネルバに資金も(恐らく超低金利で)貸し出す経路であると思います。将来的に返済の可能性もあるとは言え、マルスにとっては、短期的には赤字事業です。かといって、暗黒戦争でミネルバに投資した意味が無くなるので内情を説明された上で拒否するのも困難です。一つ間違えばアリティア人と大喧嘩を始めかねないグラ人の面倒を見るよりはマシかもしれませんが。
マルスがマケドニア貿易の支払い猶予で資金不足に陥っている間に、ハーディンがシーマのグラ復興を援助すれば…「戦争には強いが戦後復興に少々手間取ったマルス」と「敗戦国であるが抜群の手腕で国家を再建したシーマ」で大凡ハーディン改革派内部の天秤の釣り合いは取れます。反アカネイア感情の強いマケドニア人の相手を直接しないで済む分、ハーディン本人の負担も軽くなって一石二鳥三鳥となった…筈です。
しかし、これは「ミネルバ政権が軍備再建と治安復興を借金覚悟ででも履行する」事が前提条件です。まさか、ミネルバが不平分子の懐柔も粛清もせずに軍縮するとは…ハーディンの目が点になっている風景が目に浮かびます。
英雄戦争はハーディンとマルスの戦いだと納得がいきます。
ガーネフやミシェイルやカミュに介在できる余地がないのが納得いきます。
ミネルバは本当に使い物になりませんね。
この馬鹿は殺されて欲しいです。
実は英雄戦争後、ひそかにマルスによって謀殺されたのもありえます。
もしくは最終戦争のどさくさに殺されたもありです。
こう考えたのはあの馬鹿姫は戦争後も図に乗る可能性があると思うんですよ。
コメントありがとうございます。
自分のブログなのに読者さんの考察も読めるのは楽しいです。
皇帝ハーディンやマルスの思惑など、自分なりの考えはありますがここでは答えづらいのが残念です。かなり先になりそうですが、いずれ必ず書きます。
つまり、まずニーナ自身、アカネイア王家と既存貴族が既にオワコン、民衆からの支持を必ずしも受けられていないことを自覚していたこと
そして、ハーディン自身が、奴隷解放など、王侯としては開明的であり、民衆からの受けも良かった(だろう)と考えられること
さらに暗黒戦争後に、ニーナはマルスかハーディンと結婚せざるを得なかったこと
以上より、アカネイア王家の権威失墜を悟っていたニーナが、アカネイア再興のために、アカネイア王侯ではなく、先の大戦での英雄でもあったハーディンを登用したとも考えられるのではないでしょうか
人事権なんかも、ニーナが完全にハーディン任せにしていたと解釈すれば説明がつきます
加えて、ハーディンが「その強引とも思えるやり方で」改革を遂行できたのも、ニーナの後ろ盾もあるでしょうが、一番のバックは、やはり民衆の支持ではないでしょうか
小泉政権のような現代で言うポピュリズム的な政策の実行などによる民衆支持を後ろ盾として、ハーディンは既得権益の切り崩しを図ったのではないかと
どこかほかのサイトで、ハーディンのした「強引なやり方」について、1つにカルタス家のお取り潰しがあったのではないか、というのがありました
仮にそうだとすると、そんな大改革はやはり民衆の支持なしには実行しえないでしょう
カルタス家の取り潰し、そういったアカネイアの基盤を揺るがすようなことまでも、民衆の支持を背景にしてしまうハーディン。彼に不信と危機感を抱いたニーナと、利害の一致する守旧派(ボアなど。神官の財産なんかにも、ハーディンはずいぶん手を入れていたでしょう)によって、一大アンチハーディン派閥が秘密裏に結成されていた、のかもしれません
そう考えると、ニーナが紋章を渡したのは、単に「討幕の密勅」ととらえることができます。あわよくば守旧派の復権でも企図していたのかもしれません
それに、ハーディンがニーナを引き渡したのも、この史上最悪の裏切りに激怒したから、と説明がつきます
ハーディンが神聖皇帝に即位、というのを見て、これは単なる権限強化や職務変更ではなく、アカネイア「王家」から「皇帝」への離脱(?)ともとらえられるのではないか、と思いました。果たしてハーディンがそこまで考えていたかどうかは、本人のみぞ知る、でしょうが。
ちなみにこう思ったのが、私が長らく支持してきた、貴方の「ニーナ・loves・ハーディン」説の考え直しへのきっかけでした(笑)
余談ですが、シェークスピアの「オセロー」と、このハーディン・ニーナ劇は、結構似ているなと思いました。オセローがハーディンで、イアーゴー辺りが守旧派、ニーナはもう少し純情でないデズデモーナ。もしご存じなければ、今後の考察のお役に立つかもしれません
面白い体のブログで楽しく拝見しました。
しかし設定そのものである「反論」、それに対して断定する再反論という形式は拝読して馴染まないところがあると感じました。
恋心は複雑ですね。
捻くれすぎ
あの女が身も心も堕ちていた激推しを殺したのは誰か?
あの女が生き残って欲しかったのはどちらと思っていたかなど想像に難くない。
その時からあの女の最終目標は決まっていた、初めからあの女の計画通りですよ。
復讐を果たすには力が必要。
ターバンおじさんが心血を注いだ富国強兵も、あの女にとっては手段に過ぎない。